人を増やす、その前に。採用しても現場が楽にならない理由

業務が増え、今いる社員だけでは対応しきれなくなった。

残業が増えている。問い合わせへの対応が追いつかない。特定の社員ばかり忙しくなっている。

このようなとき、多くの会社が最初に考えるのは、人を採用することではないでしょうか。

もちろん、事業の成長に合わせて人を増やすことが必要な場合はあります。

しかし、新しい人を採用したにもかかわらず、既存社員の負担が減らないことがあります。

それどころか、教育や確認の仕事が増え、以前より忙しくなってしまう。

しばらくすると、再び「人が足りない」という話が出てくる。

その原因は、本当に人数だけなのでしょうか。

人を増やすと、教える仕事も増える

新しい人を採用しても、入社した日からすぐに仕事が減るわけではありません。

入社時には、雇用契約や必要書類を整え、勤怠や申請方法を説明し、担当する業務を教える必要があります。

入社後も、質問への回答、作業内容の確認、間違いや漏れのフォローが発生します。

業務の進め方が整理されていなければ、説明する人によって内容が変わります。

新しい人は、分からないことがあるたびに誰かへ確認しなければなりません。

仕事を分担するために採用したはずが、教える人や判断できる人へ、さらに業務が集中してしまうのです。

人手不足ではなく、仕組みの問題かもしれない

採用しても現場が楽にならない会社では、次のような状態が見られます。

  • 誰が何を担当するのか曖昧になっている

  • 判断できる人が限られている

  • 同じ質問や確認が何度も発生している

  • 業務の進め方が担当者の記憶に頼っている

  • 就業規則や社内ルールと実際の運用が一致していない

  • 担当者が変わるたびに、一から引継ぎをしている

この状態で人を増やすと、確認先や調整相手も増えていきます。

問題は、採用した人の能力とは限りません。

業務の流れ、役割分担、判断基準が整理されていないため、
新しい人へ仕事を渡せない状態になっていることがあります。

採用の前に、受け入れられる状態をつくる

人を増やす前に確認したいのは、現在の業務が新しい人へ渡せる状態になっているかということです。

どこで業務が止まり、誰に負担や判断が集中しているのか。

誰が担当し、誰が判断するのか。どのような手順で進め、何を記録するのか。

担当者が不在でも対応できるのか。

これらを整理すると、
「本当に人を増やす必要がある業務」と「進め方を変えることで負担を減らせる業務」が見えてきます。

必要な人数だけでなく、どのような役割を担う人を採用すべきかも明確になります。

私は企業内人事として、100人弱だった組織が約1年で300人を超える成長過程を経験しました。

採用が続く会社では、入退社、勤怠、給与、休職、各種申請などの労務業務も増えていきます。

人数の少ない頃には口頭や担当者の判断で対応できていたことも、

組織が大きくなると、同じ方法では回らなくなります。

大切なのは、すべてを一度に整えることではありません。

現在の規模に必要な仕組みから整え、人が増えても業務を引き継ぎ、運用できる状態をつくることです。

TK社会保険労務士事務所では、就業規則などの書類を作るだけでなく、

実際の業務の流れ、役割分担、判断基準まで確認し、現場で運用できる形へ整理します。

採用しても現場が楽にならない。特定の社員へ業務や判断が集中している。

そのような違和感がある場合は、さらに人を増やす前に、現在の業務と運用を確認するタイミングかもしれません。

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課題に気づているのに、なぜ改善できないのか